私のところにもついに? 詐欺電話が来ました。
「N〇Tファイナンスです。現在料金の未納が発生しており、法的措置を講じます。」との自動音声。
N〇Tがこんな重要なことを自動音声で案内してくるわけもなく、すぐに詐欺だと分かりました。後で確認したところ、案の定、電話番号は海外からでした。
最近、詐欺が横行しています。そこで、慌てないよう、偽の法律知識を使った詐欺を解説しようと思います。
「民事訴訟最終通達書 訴訟管理番号(●)1234 本通知は貴殿に対し契約中、若しくは債権譲渡のあった金額、又は団体から契約不履行による訴状が提出されたことを当該債務者たる貴殿に通知し、本通知の後、訴訟取り下げ最終期日をもって貴殿を被告とした民事裁判が開始されることを通知するものです。本通達に対しこのままご連絡なき場合、原告側の主張が全面的に受理され、裁判所の認可を受けた執行官立合いのもと、現預金や有価証券及び、動産や不動産の差し押さえが強制的に執行される場合があります。また本件は民事訴訟に関する通達である為、民事訴訟法の適用により個人情報の保護や守秘義務が発生致しますので、本件に関するご相談、取り下げ等のお問い合わせは必ずご本人様からご連絡をお願い致します。 訴訟取り下げ最終期日 令和●年●月●日 訴訟通知センター お問い合わせ・相談窓口(以下略) 〒100-8977 東京都千代田区霞が関1丁目1番地3号」
突然こんなハガキが届いたらパニックになりますよね。皆さんはどこが怪しいか気付きましたか?
正解はこちらです。
「①民事訴訟最終通達書 訴訟管理番号(●)1234 本通知は貴殿に対し契約中、若しくは債権譲渡のあった金額、又は団体から契約不履行による②訴状が提出されたことを当該債務者たる貴殿に通知し、本通知の後、③訴訟取り下げ最終期日をもって貴殿を被告とした民事裁判が開始されることを通知するものです。④本通達に対しこのままご連絡なき場合、原告側の主張が全面的に受理され、裁判所の認可を受けた執行官立合いのもと、現預金や有価証券及び、動産や不動産の⑤差し押さえが強制的に執行される場合があります。また本件は民事訴訟に関する通達である為、民事訴訟法の適用により個人情報の保護や守秘義務が発生致しますので、本件に関するご相談、取り下げ等のお問い合わせは必ずご本人様からご連絡をお願い致します。 訴訟取り下げ最終期日 令和●年●月●日 ⑥訴訟通知センター お問い合わせ・相談窓口(以下略) ⑦〒100-8977 東京都千代田区霞が関1丁目1番地3号」
①そんな通達書は存在しません。
②訴状が裁判所に提出されれば、その訴状が被告のもとにも送達されます(民事訴訟法138条)。
通知書が届くことはありえません。
③訴えは判決が確定するまでに取り下げることができます(民事訴訟法261条1項)。
裁判も始まってないのに、訴訟取り下げ期日なんてありません。
④被告が口頭弁論(裁判)に出頭しないときは、原告の主張した事実を自白したものとみなされます(民事訴訟法159条3項本文)。
裁判も始まってないのに、通達を放置しただけで原告側の主張が全面的に受理されることはありません。
⑤強制執行は債務名義によって行われます(民事執行法22条)。
債務名義とは、例えば、確定した判決書などですね。債務名義もないのにどうやって強制執行するのでしょう?
⑥訴訟通知センターって何?
⑦この住所のビルには東京弁護士会が入っています。しかも郵便番号は100-0013です。
このように、法律を知っていれば不審な点はたくさんあるわけですが、法律を知らなくても⑥の住所を検索すれば郵便番号が異なることが分かります。
これは一例ですが、詐欺の手口は日々巧妙化しています。しかし、偽の訴状を作ることは文書偽造罪にあたるため、訴状にそっくりな文書が届くことはないと思われます。法律に無知な詐欺師が作っているのですから必ず不審な点はあります。
裁判所からの通知は放置すると不利益となることもあるため、”訴訟らしき”通知が届いた場合には、すぐに記載の番号に連絡せず、必ず弁護士や警察に相談してください。
ちなみに詐欺集団を扱ったドラマ「潜入兄妹」がありましたが、あれはフィクションで、警察が(警察官を辞めたとはいえ)一般人を詐欺組織に潜入させることはありません(笑)。
闇バイトにも、くれぐれもご注意を。
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